※英二視点です
※結構下品なので、だめだと思ったらお戻りください(汗)
※R18でお願いします。
「後悔先に立たず」という言葉があるが、この時もまさにそれにふさわしい状況だった。
なにより、自分と言う人間は軽率なのだ。
一ぱしの社会人になった今でも、時折そうした本来の性格というものが顔を出す。
それが彼の前ならば、なおさら顕著だというのも確かなのだ。
大石が先に暮らし始めた部屋に、いよいよ俺が引っ越すことになった。
その、引っ越し予定日の、前月のことだ。
家具を一通り入れたから見に来いと言うので、部屋を訪れた。
そうして、寝室に通されて、俺は絶句した。
クローゼットの扉の半分に、鏡が貼られていた。
しかし、それに言及する間もなく、大石によって俺はベッドの上へと引きずり上げられてしまったのだった。
「・・・この鏡ってさあ・・・」
「ああ、あると便利だろうと思って。ほら、これだけ大きければ入りきるだろう?ほら、上には鞄も置けるし・・・」
大石は、自分が選んだクローゼットの説明を熱心に始めた。
自分ではごく普通のつもりなのだが、大石から見れば俺はいわゆる「着道楽」というやつなのだそうだ。
確かに、取っ替え引っ替え服を選ぶ時には、さぞかし便利だろう。
だが、だがである。
問題は、クローゼットの位置なのである。
クローゼットは、ベッドの真横に、平行する位置で置かれている。
そしてその鏡のおもては、新品同様の、正確には先ほどその上で少々いたしてしまったが、シーツの皺まで映している。
「・・・ああ。ホント、便利そう〜・・・」
と、俺は答えたものの。
他意がないと思う方が、おかしくないか。
「・・・あっ!あの、ほら。エッチの時もって、こと・・・?・・・あはっ」
「えっ・・・!?」
しばらくの沈黙。
大石は首をぐるりと巡らせて、部屋全体を眺めた。
見る見る額が汗ばみ、頬が赤らんで行く。
マジ!?
出たよ、天然・・・
と、俺は思わずにはいられなかった。
そういえば、さっきしている時も大石は鏡の方は見ていなかったっけ。
大石は、本当に全く他意なく、この部屋のしつらえを完了したのだ。
配送業者もきっと、「新婚なのかな」とか、「お盛んで羨ましい限りです」とか思ったに違いないのに、だ。
「あはっ。じょーだん、冗談!気にしないでよ〜」
「そ、それは、考えてなかったな・・・」
「冗談だってば!アハハ・・・」
「あはは・・・」
笑いはむなしく響いて、後に残った気まずい沈黙を引き立てる。
「喉乾いちゃった。やっぱり、茉莉花茶持ってくればよかったなあ・・・」
「・・・コ、コーヒー煎れるよ」
二人とも、なんだか居たたまれない気分になり寝室を出た。
これが、昼過ぎのことだ。
で、今。
日付が変わって、深夜0時過ぎ。
今日はもともと泊まるつもりはなく、夕飯を二人で作って食べたら、10時頃にはおいとましようと思っていた。
「ね、英二、言って。どうなってるの」
「・・・知らない、知らないよ〜・・・」
「だって、俺からは見えないんだから、説明してくれなけりゃわからないよ・・・」
ほら、後ろ、見て。
と大石に請われて、恐る恐る後ろを振り返る。
クローゼットの鏡が、素っ裸の俺たち二人を大きく映している。
仰向けに横たわる大石の上に、俺は脚を大きく開いて跨っていた。
尻をゆっくりと引き上げると、俺の体に突き刺さった大石のものが見えてくる。
「・・・うわあ」
尻を上下に動かすと、大石のが隠れたり顔を出したりする。
結合部分が目に入り、一種グロテスクな光景だ。
こんな風になってたのか。
と俺は妙に感心した。
鏡に映った自分と目が合った。
泣きそうに歪んでいる顔。
苦しくも辛くもないのに。
大石は、いつもこういう俺を見ていたんだ。
そう思うと、背筋を撫でられたようにぞくりとした。
「ほら、英二・・・」
大石が催促するが、俺はそれを無視して体を前に傾ける。
気持ちの良い所へ、大石のを擦りつける。
「あっ、あっ・・・んん・・・」
「ずるいぞ・・・」
俺は、その唇に飛びつくようにキスをした。
ずっずっと、音を立てて互いの唾液を吸い合う。
俺はイキたくなって、二人の腹の間に手を差し込んで自分のを握った。
「触っちゃだめ、まだだよ・・・」
大石の指が、俺の指を外して行く。
「ヤだよ、もうイキたいよぉ・・・」
始めてからそろそろ2時間になろうというところだ。
いい加減、お互い一度イッて、まったりしたいのである。
だいたい、さっきはあんなに真っ赤になっていたのに。
この豹変ぶりは、なんなのだ。
どこに大石のスイッチがあるのか、長いつきあいになるのにいまだによくわからない。
とはいえ、今日はスイッチが何だったのかはっきりしている。
そのスイッチをうっかり押してしまったのは、誰あらぬ、自分自身なのである。
「英二・・・」
大石が肘をついて上半身を少し起こした。
「どうすんの・・・?」
「・・・抱っこしようか?」
「抱っこ・・・?」
「すごい、これ、エッチだね・・・?」
大石の唇が俺の右耳を食む。
まとわりつくような吐息にくすぐられ、腰の辺りが痺れたようになる。
その腰の周りを覆うものはなく、俺は大石の膝の上で両脚をあられもなく開いている。
俺の中心は天を仰ぎそそり立ち、その頂上を濡らしている。
しかし、それに触れることは許されず、ずくずくと疼く腰を、俺はわずかに揺らしている。
両手を持て余し、自分の乳首に触れるも、それも大石の指に阻まれた。
「ダメ・・・」
大石の指が俺の乳輪をつまみ上げてゆっくりとしごく。
「あぁんっ・・・あっ・・・」
もう片方の指が、結合部分の周辺をなぞり、袋の裏を擦っていく。
「ふうぅん・・・気持ちぃ・・・」
「気持ちいい・・・?」
「うん・・・」
俺は顔を後ろに向けて、催促する。
俺の耳孔を犯していた大石の唇が、今度は俺の唇をむさぼる。
なんだか、食べられてしまいそう。
顎まで大石の唾液でべちゃべちゃだ。
苦しくなって顔を離すと、大石は俺の右乳首にむしゃぶりついた。
見せつけるように、舌をつかい、ゆっくりと舐め上げる。
「お願い、俺の、シてよぉ・・・」
懇願すると、大石は俺のを握り、上下にしごき始めた。
大石の腰がわずかに上下に揺れている。
俺のいいところに当たりそうで当たらないから、もどかしくて堪らない。
ふと鏡を見ると、焦れに焦れて、泣き出しそうな俺の顔。
下を貫かれ指で愛撫され、胸を指と舌とで弄ばれている。
あらゆる所を犯されて、そうして、最後に自らの目でもって、自分で自分を犯す。
ぞくぞくぞくと、これまでにない快感が腰から沸き上がり、背筋をせり上がって行く。
自分のことをここまで求めてくれる人間は、きっと彼しかいないだろう。
幼い頃に、直感したとおりだった。
さきほど嗅いだ花の香りの記憶がよみがえり、鼻腔をくすぐる。
大人数の兄弟の末っ子で、可愛がられてはいたけれど、決して父母にとっての一番にはなれなかったように思う。
母親にせよ誰にせよ、自分が求めるばかりで、誰かに独占したいと思われることなど経験したことがなかった。
彼に出会うまでは。
「いっ、いっ・・・いい・・・イッちゃう・・・」
「いいよ、イッて・・・」
大石はますます腰をせり上げて、俺の中を深く犯す。
二人の体が上下に大きく動く。
その間も、大石の指と舌は、俺の体を犯し続ける。
「はっ、はっ、はあ、はあ、・・・んんっ、あぁんっ」
何もかも手放したいような気分の中、俺は射精して果てた。
それを見て大石の動きが途端に弱まる。
大石がイッたという気配が乏しいのを、俺は不思議に思った。
「・・・はあ、はあ、・・・大石は?イッたの?」
「うん、イッたよ」
「え?いつ?」
「うーん・・・だいぶ前、かな・・・」
「・・・へ?」
「イッたって言うと抜かなくちゃだろう?」
終わりたくなかったから、と言って頭を掻いている。
「ず、ズルイ!俺にはイッちゃダメとか言っておいて・・・」
俺は思わず子供のように思わず頬を膨らませた。
「ははは・・・だって、英二がすごくエッチな顔するから。出すなって方が無茶だよ」
「う・・・」
・・・無茶苦茶な理屈だ。
しかし、俺は一言も返せなかった。
普段ならそういったことを言われても、「そんな顔していない」と頑として否定することもできるのだが。
「ちぇ・・・イクときは言うって約束にしようよ」
いいよ、と言いながら、大石は俺の頬にキスした。
絶対ウソだ、と俺は思った。
普段は生真面目なくせに、こういうことについてはウソを言ってもいいと思っているのだ。
「・・・あ。また・・・」
「え?」
「元気になってきたみたい。ハハ・・・」
「え〜・・・」
大石は、我が意を得たりという顔である。
ホラ、抜かなくても良かっただろう?、と下品なことを言いつつ爽やかな微笑みを浮かべている。
こうなったら、腹をくくるよりない。
ウソであれホントであれ。
後悔しようがしまいが。
ここから先には、今よりもっと、甘い生活が待っているのだから。
「ジャスミン_ラ・ドルチェ・ヴィータ(甘い生活)」
end
最後までお読みいただきありがとうございました!
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